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旅先では本が読めないたちなのですが、この休みに7月はじめに出た2 冊の本を読み切りました。塩野七生「ローマ人の物語1」。彼女の作品に は歴史上のイタリア舞台とした連作に魅せられていたので、この1年に1 冊づつ10年がかりでローマの歴史を書くという壮大な連作は逃すわけに はいかないです。歴史家でなく小説家が書く歴史というのは歴史物好きに は魅力ですよね。来年も期待しちゃいます。あと、佐藤亜紀「戦争の法」。 第3回日本ファンタジーノベル大賞を受賞したすぐの書き下ろし長編。受 賞作「バルタザールの遍歴」は、世紀末ウィーンが舞台で退廃的な匂いの するペダンティックで翻訳物のような不思議な小説でしたが、それに比べ ると、日本の中でローカルな戦争を起こすという軽めの小説です。最後に 主人公がウィーンでオペラを見るところは、彼女の趣味で強引に持って行っ たなという感じ。そこが彼女らしくてよかったですけれどね。 今週は、デルヴォーをば。 ポール・デルヴォー 《花嫁の衣装》 (1976) 白い衣装を纏った花嫁が、戸外の夜の風景の中で椅子に座っている。路 面電車の線路はは、彼女の背後の門で線路が途切れてしまっている。デル ヴォーの絵は、フロイトの精神分析にもとづいて、自分の意識下をあらわ にしようと描かれているようです。夢の中を暗示するような夜の風景。官 能的な裸婦を描くことが多い彼の絵には珍しく、女性がきちんと衣服を着 ていることや、途切れた線路が暗示するものは、恋の挫折でしょうか。 彼は、ベルギー出身で、同じくベルギー出身のルネ・マグリットと並び 称せられるシュル・レアリストです。2人ともパリではなくブリュッセル で活躍しました。シュル・レアリズムとは、理性の支配をまったく受けな い、美的先入観や道徳的先入観の外にある思考から生まれる表現だそうで す。そういう意味で、デルヴォーの無意識の具現化は成功を収めたと言え る。シュル・レアリストでも、デルヴォー、マグリット、ダリ、イブ・タ ンギーなどは、難しい議論は抜きにして、美しい絵を残しているので、見 るだけで楽しめるところが僕は好きですね。 さて、美術展ですが、JR東京駅のステーションギャラリーで、「17 世紀オランダ風景画展」が始まりました。このギャラリーは、東京駅の赤 煉瓦むき出しの展示室が2つを持ち、アンティークな感じのするいいとこ ろです。今回のようなクラシックな趣の絵を展示するにはもってこいです。 いままで、ちょっとついでに立ち寄って的な軽い展示が多かったのですが、 今回は力が入っています。Kamio Gallery でもちょっと追いかけて見まし たが、17世紀オランダは、民間の絵画需要のために風景画が爆発的に描 かれました。その時代の巨匠、ヤン・ファン・ホイエンやアールト・ファ ン・デル・ネール、ヤーコプ・ファン・ロイスダールなどの絵がたっぷり と見られます。風景画って見るのに難しくないから気軽に足を運んでみて ください。 |
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