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help リーダーに追加 RSS Kamio Gallery No.93 ギュスターヴ・カイユボット 1993/8/9

<<   作成日時 : 2005/04/03 14:39   >>

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西洋絵画を体系的にまとめるの第4弾です。展示は、先月後半のものです
が。

 
画像


 ギュスターヴ・カイユボット
 《雪のパリ》 (1848-1894)
 プティ・パレ近代美術館

ナポレオン3世の時代、レアリズムやバルビゾン派の台頭が歴史の裏側で
起こりつつあったころ、1863年の落選展のマネのスキャンダルでその動き
が一気に表に出て、ここにふたたび「官展派」と「独立派」の2極構成が
成立します。ここでの「官展派」は新古典主義の美学を引き継ぐものの、
美しいだけの絵になってしまったカパネル、コラン、ブーグロー、ジェロー
ムたちの絵画です。ポンピエ派と呼ばれ、美術学校の教授やサロン審査員
として画段に支配力を持っていました。それに対し、この時代の「独立派」
は大きなエネルギーを持っていました。1874年の第1回印象派展に始まり、
大批判を浴びながらも何度かの印象派展がサロンである「官展」に対抗し
たために、この新しい動きを「印象派」と呼んでいます。

印象派の画家のなかから、ルノワールをとりあげてみましょう。いま、池
袋東武美術館で「ルノワール展」が行われています。東京では9年ぶりの
ルノワール展ですね。印象派の絵が「筆触分割」という手法で光の反射を
画面に表現する「モネみたいな絵」だとすると、この展覧会では印象派的
な絵は見られないようです。彼は、人的交流の上から出発点を印象派とし
ただけであって、後にはフラゴナールのような「美しい」絵を描くために
いっしょうけんめいになります。

印象派の時代になると師と弟子という関係で絵画の手法が伝達されて行く
というよりも、人的交流によって互いに影響しあって絵画の手法が伝達さ
れて行くようになります。ルノワールは、20歳のときにパリに絵画を学
びに出てきたのですが、そのアトリエにモネ、シスレー、バジールといっ
た印象派を作り上げた面々が後に入門してくる、また彼らを通じて、印象
派展を最後まで熱心に維持したピサロ、はやくも印象派を抜け出して新し
い絵画を目指してしまったセザンヌとも交流を持つ。ドガとは喧嘩友達だっ
たようだし、マネの義理の妹のモリゾや、ユトリロの母親のヴァラドンと
のつきあい。ルノワールの交友録だけで印象派の画家が全部連なってしま
いそうですね。今回 K.G で展示しているカイユボットもルノワールの友人
です。ただ、ルノワールはまじめで怒りっぽいカイユボットをからかうの
が大好きで、夕食会でカイユボットをやりこめるために百科事典まで用意
したというエピソードがあるそうです。

カイユボットは、印象派の画家としてはめずらしく裕福な資産家だったの
で、画家としてよりも友人たちの援助のために印象派の絵を収集したこと
で有名です。なぜか自分が早く死ぬことを予想し、30歳にもならないう
ちに遺言を書いたそうです。そのなかには、自分の印象派のコレクション
を国に遺贈すると書いてあったのですね。予想通りか46歳の若さで他界
したわけですが、当時、印象派がまだ世に認められていなかったわけです
から、ルーブルは遺贈予定だった65点のコレクションの一部を受け入れ
拒否するという事件に発展したそうです。そこで遺言執行人として骨を折っ
たのがルノワール。いまとなっては、ルーブルの別館としてできた印象派
の殿堂オルセー美術館の中心的なコレクションがカイユボットコレクショ
ンから成っているわけで不思議なものです。《ムーラン・ド・ラ・ギャレッ
ト》もこのなかに入っていたそうですよ。

画家としてのカイユボットは、ドガの影響を受けていて、パリの街の人々
を活写するのが得意だったようです。シカゴ美術館の《パリ、雨の日》が
有名ですが、ひとつの傘にはいって街角を歩き過ぎようとするカップルを
描いたこの絵では、この人物たちを真ん中に配するわけでなく、次の瞬間
には絵の外に歩き出て行ってしまいそうな構図で描いており、写真のシャッ
ターを無造作に切ったような感覚を覚えます。これはドガがお得意の画法
で、画面に躍動感を感じさせる効果があります。展示した絵は、高台から
パリの街を見おろすような構図です。ほとんど単色でまとめられています
が、印象派らしく雪を降らせる暗い空でも光の効果を認め、丹念に絵の具
を重ねているところが正当派かな。

というところで、ルノワール展に話を移します。池袋で9月14日まで、
京都市美術館で10月いっぱいという予定で行われる展覧会です。東武美
術館開館1周年記念で、はじめての東武美術館スタッフによる美術展だと
思います。たとえば、《ムーラン・ド・ラ・ギャレット》のような目玉商
品がなかったことと、油彩が40点弱しか集められていなかったのが残念
でしたけど、いくつかの見所がありました。僕にとっては再会の絵がいく
つかあって嬉しかったですね。8年まえの京王百貨店で行われたルノワー
ル展に出展された《ハイカー》。一昨年の暮れに都立庭園美術館で観た
《レースの帽子を被った少女》。どちらも女性の顔が陶器の表面のように
なめらかで美しい絵です。ルノワールの絵にはあたりはずれがあって、今
回の展覧会でも必ずしもすべての絵がいいわけではないのですが、こうい
うルノワールらしい美しい絵を見つけられるととっても嬉しいです。あと
は、《無邪気な少女》って絵もよかったです。今回気がついたのですが、
ルノワールの少女の絵のポイントは、肌の美しさだけでなく、髪もポイン
トですね。様々な色に輝くなめらかに流れる髪がなんともいえずよく描か
れているなあと思いましたね。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。mixiのpacaです。こちらのブログに初コメントです。

カイユボットのことは詳しくはしらないのですが、ここでお勉強・・・
シカゴ美術館にいって印象派のあるギャラリーに行くと、パリ、雨の日(Paris Street; Rainy Day )が真っ先に目に飛び込んできます。
この絵は大きなキャンバスいっぱいに描かれてあり、パースペクティブが印象的でぐっと奥行きがあり、とても印象的な絵です。好きな絵であります。

街行く人たちが持つ傘、それに石畳のスクエアの繰り返しががリズミカルさを与えてて、なんだか雨の描きかたにむしろ、悲壮感もなにも漂わず、日常のワンシーンを捉えたといった感じです。一番手前に書かれてるフィギュアが等身大で描かれており、まるで観客がその絵の中に入り込むよな、一部であるかのように感じさせてくれていいんですよね。
paca
2008/04/05 01:39
カイユボットの「雨の日」は人物を極端に右によせて画面を少々不安定にしているのはドガの影響でしょうか。写真のように画面をつくっているのが特徴的です。西洋では、雨の表現は傘や舗装の反射などですが、日本の浮世絵を観て線で雨を描くというのはびっくりしたのではないかなと思います。
この絵の建物がぐっと奥行きを作っているのはやりすぎかなと思ってしまいます。シカゴ美術館は印象派の殿堂ですね。ルノワールの《テラスにて》は日本で見ているのですが、資料がなくて悔しいです。まだお金のない学生時代に池袋の西武デパートで見ました。
神尾利明(Claude Monet)
URL
2008/04/05 23:52

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