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今日は、Bunkamuraザ・ミュージアムで昨日から行われている「ア ンカー展」に行って来ました。アンカーはそれほど日本に知られて いる画家ではないと思います。僕は、1993年の「ベルン美術館展」 ではじめて出会い、1996年のKG No.272でアルベルト・アンカーと して紹介されています。ちょうどフランス語圏とドイツ語圏の中間 で生まれたようですね。今回の展覧会ではフランス語読みでアルベ ールと呼んでいます。あまり資料もなく、アンカーはKGで取り上げ られてしまっているので、別の画家を紹介することにして、「アン カー展」を見ながら、アンカーについて理解を深めたいと思います。 アンカーは、本名ザームエル・アルブレヒト・アンカーというそう ですが、アルブレヒトがドイツ語の呼称のようですね。それをフラ ンス語でアルベールと呼び、これを英語読みするとアルベルトにな るのですね。ややこしい。生まれは1831年ですから、フランスの印 象派の画家たちとだいたい同じくらいかすこし上の年代でしょうか。 彼の父親は獣医で、アンカーには牧師になってもらいたかったのだ そうです。アンカーも父に従って、ベルン大学の神学科で学ぶこと になります。ところが、在学中にパリに出て、シュウールとプッサ ンに感銘を受けたと記録にあります。帰国後も神学は勉強していた のですが、どうしても画家になりたくて22歳のときに、父親に手紙 でそのことを打ち明けます。23歳になってやっと父親から画家にな ることを許されてスイスの画家のアトリエで絵画を学ぶことになり ます。翌年、パリに出てエコール・デ・ボザールに入学し5年ほど ここで絵を学びます。その間に、エコール・デ・ボザールで賞をと ったり、サロンにも入選をしています(ほぼ同じ歳のマネはスキャ ンダルを起こしたりしていますね)。画家としては非常にいい滑り 出しをしたことになります。その後はフランスとスイスを行ったり 来たりしながら制作をしています。ところが同時代の画家がフラン スの風物などをテーマにしたのですが、アンカーは、すべてスイス の風物を描きました。No.272があまりに暗いイメージの絵なので、 こちらでは美しい絵を紹介したいと思います。 まずは故郷の村というテーマのものを何枚か紹介します。アンカー は秋から春はパリで制作をし、夏には故郷スイスで過ごすという生 活を30年も送ったのですが、そのテーマでもっとも多いのは故郷の 村の風物です。まずは、《少女と2匹の猫》です。子猫と少女の信 頼関係が見るものに安心の気持ちを与えてくれますね。アンカーは 少女を愛らしく何度も描いているのですが、その典型的な絵ですね。 フランスのアカデミックな絵にはあまりないと思いますが、背景を 真っ黒にして描かないことが多いです。 つぎに《鶏にえさをやる少女》です。この絵はミレーの絵に出てき そうな風景ですね。しかし、少女の美しい顔と少年の顔も美しく、 ミレーの本当に素朴な絵とは違って、少々美的で牧歌的な村の風景 になっています。 つぎに《水を運ぶ子供たち》です。アンカーの絵は、本当に少女、 少年を美しく描きますね。田舎の生活の暗さのようなものがまった く感じられないのです。アンカーにとっては、田舎は本当に自分に あう好きなところだったんですね。パリにあってもパリの風物を描 かなかったのは本当に故郷を愛していたのでしょう。 つぎに《おじいさんと二人の孫》です。アンカーの絵には少年、少 女のほかに老人が出てきます。これは人生にこれから旅立つ子供た ちと人生の終着点に近い老人を対比しているのです。少年少女も老 人もなんとも牧歌的な雰囲気をかもしだしてますね。 つぎに彼の静物です。4枚ほどのなかから《静物(お茶の時間)》 を紹介します。アンカーはシャルダンをルーブルで研究しているよ うです。しかし、シャルダンの筆の速さに比べると、なんとも丁寧 でかちっとした写真のような静物ですね。なんとなくアンカーのき ちんとした性格がわかるような気がします。 つぎに彼の肖像画ですが、やはり少女が多いのです。《髪を編む少 女》ですが、本当に美しい肖像画です。洗面器の横に本が置かれ、 本を読みながら朝の身づくろいをしているところですね。この絵は 髪も美しく、ドレスの質感など個性的で美しくすばらしいです。 展覧会は1/20まで渋谷で、2/2-3/23に郡山市美術館、4/8-5/18に松 本市美術館、5/24-6/22に美術館「えき」KYOTOに巡回します。ぜひ、 この美しい少女たちの絵を見に行ってください。 さて、今回の絵ですが、スイスのベルン美術館から、アンカーと同 じく写実主義の画家です。 コンラート・グローブ(1828-1904) 《父の帰宅》(1882) ベルン美術館蔵 彼は、スイス出身の画家ですが、版画家として画業を始めています。 ナポリでは10年間リトグラフ工房で働いており、熟練したリトグラ フ職人として成功していた。しかし、あるときにミュンヘンから来 ていた画家たちに接したことから画家への転向をし、37歳でミュン ヘンの美術アカデミーに入学し絵画を学ぶことになります。42歳で はじめて絵画を制作し、この絵のような牧歌的で楽しげな風俗画が 人気を呼び、アンカーと同じくスイス的な風俗画を描いています。 |
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| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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アンカーの絵、初めて見せて頂きました。 |
ちろりん 2007/12/03 00:00 |
アンカーの画風自体は、14年前の「ベルン美術館展」である程度わかっていました。今回、その回顧展が開かれるということでとても楽しみにしていました。端正というのはあたっていると思います。たとえばルノワールのように、適当に背景を塗ってしまうようなことがなく、真っ黒にしてしまうか、ほとんど見えなくてもしっかり描いていたり。完ぺき主義だったように思います。彼がパリで流行の絵を描いていたら、おそらく病気になってしまったでしょう。スイスに夏だけ滞在し、多くのスケッチを持ってパリに戻ったのでしょうね。このような牧歌的な風景画はパリでも好まれたでしょうから、売れていると思うのですが、あまり美術館に入ってないのですね。しかし、スイスではとても尊敬された画家でベルン美術館をはじめあちらこちらの美術館に入っているようです。グローブの絵を持ってきたのは、彼と同じく牧歌的な風景を描いているからです。アンカーの絵はフェルメールにもたとえられるような「静」の絵、グローブの絵は「動」の絵ですね。鶏に餌をやる絵ですら、動いているのは手元だけですね。この静謐さがアンカーのよさで、好まれている点だと思います。 |
神尾利明(Claude Monet) URL 2007/12/03 16:12 |
こんにちは。 |
姐御 URL 2007/12/21 01:39 |
姐御さん |
神尾利明(Claude Monet) URL 2007/12/21 08:48 |
こんにちは。私の日記にコメントありがとうございました。 |
紅茶にゃんこ 2007/12/23 22:55 |
紅茶にゃんこさん |
神尾利明(Claude Monet) URL 2007/12/24 09:21 |
いつもコメントありがとうございます。 |
くみてぃ 2007/12/25 17:26 |
《髪を編む少女》の作り出す「静」が写真を撮ったような「静」を描くフェルメールを彷彿とさせます。ここのところいろいろな展覧会がどっと来ましたね。アンカー展がしっくりしましたか。僕はムンク展は見ていないですが、彼の想像していた生命のフリーズへの道をトレースできるようにしていたそうですね。フィラデルフィア展は総花的な気がしますが、以外にまとまっていました。僕のブログで見たようなすこしの驚きを重ねていく楽しい展覧会でしたね。それに比べアンカー展は考えさせる展覧会でした。この笑いのない子供、老人これは「死」を予感させました。僕が初めて会ったアンカーが死んだ子供を囲む母と友人たちというとても静かな空間だったので、それが強く僕の脳裏に焼きついていたからかもしれないですが、彼が若いときに兄弟を亡くし、母を亡くし、成人してからも息子も早く亡くしている。この背景がこの静かな絵の連続を作り出したのかなと思いました。でも、かわいらしい子供の絵を楽しむのも見方ではあります。ブログのほう、がんばりますよ。死ぬまで続けるつもりです。 |
神尾利明(Claude Monet) URL 2007/12/25 22:49 |
はじめまして。日記にコメントしていただいたときのURL辿って参りました。 |
てんつく 2008/01/04 00:07 |
てんつくさん |
神尾利明(Claude Monet) URL 2008/01/04 15:50 |
こんにちは。先日、日記にコメントをいただき、 |
なつき 2008/01/13 20:43 |
なつきさん |
神尾利明(Claude Monet) URL 2008/01/14 09:57 |
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